高根城
Takane Castle, Japan


登城日:
2006. 10. 09







高根城は静岡県西北部の深い山間にある山城です。
所在地は、静岡県浜松市水窪町地頭方です。

水窪河内川に沿って走るJR飯田線の向市場駅から
歩いて30分ほどの山の上にあります。

標高420mの通称、三角山の山頂にあり、
山の麓を通る秋葉街道を押さえる要衝の地にあります。


地図はこちらです→
Mapion


JR飯田線の電車を向市場駅で降り、
高根城に向かいました。
無人駅の向市場駅を出て左に折れ、
JRの線路をくぐり秋葉街道に沿って
山道に入っていきます。

飯田線の様子はこちらです。


道の途中に高根城の案内図がありました。



この図の右手が北の方角になります。
北から本曲輪、二の曲輪、三の曲輪が堀切で区切られ
独立した曲輪として連なっているようです。


この高根城は、15世紀前半に、地元の国土領主、
奥山氏が築城したと言われています。
15世紀後半には今川氏の勢力下に置かれていましたが、
戦国時代には、今川氏真と徳川家康の双方から所領安堵され
さらには武田信玄からも安堵状を得ているそうです。

周囲を大きな勢力を持った戦国大名に囲まれ、
奥山氏が、領地を守る為に綱渡りの
駆け引きを行っていた様子が目に浮ぶようです。

しかし、今川・徳川そして武田のどこに帰属するかで、
奥山氏に内乱が起こり、1572年(元亀3年)には
この高根城は武田氏の支配下になっていたようです。
1576年(天正4年)、長篠の戦で敗れた武田軍の勢力が
この地域から一掃された時に、廃城になったそうです。


しばらくアスファルト舗装の道が続きますが、
やがてそれも尽き、山肌の小道を登るようになります。

その入り口に、城主・奥平家のお墓がありました。



ひっそりと佇んでいますが、お墓は新しく
奥山氏の子孫が今でもお墓を守っているようです。

ここからは山間の急坂となります。
汗だくになって山を上ります。

周囲には誰もおらず、心細くなるほどです。



杉の木が生い茂っていますが、
よく見ると山肌は深く削られているようで、
当時の堀切のあとのように思います。

急な斜面を上り尾根に出ると、小公園がありました。
谷の反対側にはアスレチック広場もありますが、
ここは当時は南の曲輪だったところと思います。

更に南に向かうと「のろし台」の跡もありました。



のろし台が高根城跡の最南端のようで、
ここで引き返し、主曲輪を目指します。
道に迷ったかなと思うほど木々の生い茂る
細い馬の背の小道を歩きました。

急に視界が開け、高根城の主郭が目の前に現れました。
高根城は1994年(平成6年)から1999年(平成11年)にかけて
発掘調査され、主曲輪の井楼櫓などが模擬復元されています。



写真左、木の柵で囲われているところが三の曲輪です。
三の曲輪の手前に、堀切と呼ばれる切れ込みが2箇所入っています。
右の写真がその堀切を横から見たところですが、
いかに急な切れ込みかがわかると思います。

堀切の脇の土橋を渡り、三の曲輪へ足を踏み入れると
一段高いところに本曲輪が見えてきました。



本曲輪の手前左側にある木の柵で
囲まれたところが二の曲輪です。
二の曲輪へは急な梯子を上ります。

二の曲輪からの眺めです。



二の曲輪からは、本曲輪へ向かう城内の道を見下ろします。
本曲輪の入り口の門の向こうに広がる
水窪の町の眺めがとても立体的でした。


二の曲輪の後、いよいよ本曲輪に足を踏み入れます。



この本曲輪には井楼(せいろう)櫓や
大手門が模擬復元されています。

本曲輪に向かう途中から二の曲輪と
三の曲輪を振り返って眺めてみました。



木の柵が折り重なり、いかにも戦いに
明け暮れた戦国時代のお城といった感じです。

土塀で囲まれた本曲輪に入ります。
城内に奥山氏を祀る石碑もありました。
そして、一番目に付くのは
物見櫓のような井楼櫓です。



生憎、中には入れませんでしたが
小高い山の上に建つこの櫓の上からは
さぞ敵の動きがよく掴めたことと思います。

井楼櫓の脇には新しい神社がありました。
高根城の城主・奥山氏を祭る稲荷神社です。



この稲荷神社は当時の高根城にはなく
後世に作られたようです。

そのため、狭い本曲輪の中には
建物がひしめく様な感じです。
確か井楼櫓はもともとの位置には建てられず、
少し場所をずらして復元されたと思います。

そして本曲輪の北の端にある大手門です。



近世の城の大手門に比べると質素なつくりですが、
この山自体が堅牢な守りになっているので
このような作りでも良かったのでしょうか。


そして、この大手門を抜けると目の前に
水窪の町が眼下に広がりました。



山に上って汗だくになっていたのですが
この景色に爽やかな気持ちになりました。

この日は雲ひとつない秋晴れの天気でした。



城址に立つ木が青空に聳えていました。

高根城は戦国時代の山城の様子を今に伝え、
その眺めと共にとても良かったと思います。



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