桑原城
Ruin of Kuwahara Fort, Japan


登城日:
2008. 09. 30








【桑原城概要】


桑原城は、諏訪惣領家の
居城だった上原城の支城でした。

上原城の様子はこちらです。


桑原城は上原城から約2.5km程、
北西に位置しています。

地図はこちらです→ Mapion


桑原城が歴史の表舞台に出るのは
1542年(天正10年)、武田信玄が
諏訪頼重を攻められた時のことです。

諏訪頼重は、居城の上原城を放棄して
この桑原城に軍を移しました。

7月2日の夜、桑原城に移った諏訪頼重ですが、
3日の夕方、検分をしに出かけた頼重を見た家臣が
頼重が城を捨てたと思い込み逃げてしまった為、
頼重は4日に武田軍に下り、その後、甲府に送られ
そこで、自刃してしまいました。

3日の夜、この桑原城で頼重と一緒に夜を
過ごしたのは僅か20名程だったそうです。

諏訪頼重辞世の句です。
" おのずから 枯れ果てにけり 草の葉の
  主あらばこそ またもむすばめ "


桑原城は東西に曲輪が並ぶ縄張りになっています。



東から東曲輪、一段高い本丸、そして
二の丸と3つの主要な曲輪がありました。



【桑原城へのアクセス】


桑原城は、JR中央東線の上諏訪駅の南東、
約3.5km程のところにあります。

桑原原城を訪れた際には、距離があったので、
茅野駅でレンタカーを借りてしまいました。



【桑原城登城記】


上原城を訪れた後、その支城の桑原城に向かいました。
諏訪から霧が峰へと向かう国道424号線を走ります。
諏訪の街を抜け、勾配にさしかかった
辺りが桑原城の入り口です。

桑原城への上り口で車を止めて
歩いて山を登りました。



この道を20分程登った頃でしょうか。
簡易舗装道が行き止まりとなり
山道へと分け入っていきます。

しばらく歩くと、大きな空堀が現れました。



堀はすっかり草木で覆われていましたが
大きな空堀で、堀底からの急斜面を
九十九折れの山道が続いていました。


細い山道を登り、藪の中をしばらく進むと
周囲が開けてきました。



案内表示によるとここは東曲輪です。
曲輪の右手の斜面は、本丸へと続く土塁です。

その手前に、こんもりとした
小さな丘がありました。



この丘は首塚だそうです。

どんな謂れがあるのか判りませんが、
かつて、この桑原城を舞台として戦で
命を落とした武将の首塚なのでしょうか。

それとも、後世の人たちが、
首塚と思い込んで名付けたものでしょうか。


この東曲輪から、本丸の土塁に沿って
西に向かうと、再び空堀が現れました。



この空堀は本丸と二の丸の間にあり
堀の深さは6m程でしょうか。

まずは、堀の西側(左手)にある
二の丸に行ってみました。



目分量ですが、二の丸の広さは
幅、奥行きとも約20m四方程度でしょうか。

小さなな上原城の二の郭ほどではないですが
この桑原城の二の丸も、それ程大きくはありませんでした。


この二の丸は、諏訪盆地を見下ろす位置にあり
眼下に諏訪湖が広がっていました。



1542年(天正10年)7月3日の夜、
僅か20名程の近習の者に囲まれた諏訪頼重は、
この景色を眺めて、何を想ったのでしょうか。


二の丸から北に向き、本丸の方向を眺めた様子です。



空堀と隔てて、二の丸と同じ高さで
本丸が広がっています。

二の丸から空堀を隔てて眺めた本丸です。



この二の丸と本丸の間の空堀は見事でした。

空堀を渡り、本丸から眺めた二の丸の様子です。



コンパクトな二の丸の様子がよくわかります。

本丸からは茅野の街を眺める事が出来ました。

丁度、上原城の城下町があった辺りが
見えていると思います。



桑原城での最後の夜、ここから
攻め手の武田軍の篝火が
城下町を取り囲んでいた様子が
手に取るように見えていた事でしょう。

本丸にあった桑原城の石碑です。



本丸は東西33m、南北22mの大きさで、
面積は600平米程だそうです。
この本丸規模からすると、数百人程の兵力が
やっと収納出来る程の規模でしょうか。



本丸の周囲に低く築かれた
土塁も残っていました。



本丸の東側は、首塚のある東曲輪と、
その東側に山々が続いているのが見えていました。



桑原城は、東側に大きな空堀があったものの
それ程、堅牢な造りではなく、武田軍が
攻め込んできたらひとたまりも無かったでしょう。

頼重は、籠城を考えていたのではなく、
ここで兵を整え、武田軍に討って出ようと
していたのでしょうか。

頼みの兵が散逸してしまい、それも叶わずに
開城止む無きに至った頼重の悔しさは
如何ばかりだったでしょうか。



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