甲斐の国、戦国時代は
武田信玄がこの国を治めていました。

当時の信玄の居館は、今の甲府市の
北にある躑躅ヶ崎館でした。

その武田氏が滅亡した後、甲斐の国は家康と
北条氏の間で争奪となり、勝者の家康が
甲斐の国を支配することになりました。

その後、家康は秀吉により江戸に移封され、
甲斐には羽柴秀勝・加藤光泰・浅野長政・幸長と
秀吉に極近い武将が赴任しています。

甲府城は、武田氏滅亡後に甲斐に入った家康が
1583年（天正11年）に築城を開始し、
その後、豊臣系大名によって
完成したと言われています。

甲府城の正確な築城年ははっきりしておらず、
家康が1583年に築城を開始したのも
疑わしいという説もあるようです。

甲府城の縄張りは、中央の本丸の周囲を、本丸曲輪、
稲荷曲輪、鍛冶曲輪などが取り囲む輪郭式縄張です。

関が原の合戦後は、徳川の支配下となり、
徳川親藩の大名が城主となっていました。

1724年、柳沢吉保の嫡男、柳沢吉里が
大和郡山城に移封になった後は、
幕府直轄となっていました。

この甲府城には、2005年12月、2007年12月
そして、2013年2月と何度か登城しています。

JR甲府駅から南に徒歩5分程です。

2005年12月、甲府城の南にあるホテルを出て、
歩いて甲府城に向かいました。

ホテルで貰った地図を頼りに甲府城に向かうと、
石垣で囲われた甲府城址にたどり着きました。

市街地から急にこの石垣と白壁の景色となり、
周囲の雰囲気が一変しました。

石垣は、堀沿いから天守台にかけて
３重の装いで、圧倒されるほどです。

まずは、甲府城南西の鍛冶曲輪門から
甲府城に足を踏み入れました。

これが鍛冶曲輪門です。
石垣と白壁に挟まれた門です。
新築当時の様子が目に浮かんできます。

甲府城の南のお堀に沿った鍛冶曲輪を西から
東に移動し、数奇屋曲輪へと上って行きました。

クリスマスを間近に控え、城内には
イルミネーションの飾りがありました。

数奇屋曲輪は甲府城の一番東にあります。
豊臣系大名が築城を完成させた時には、
江戸の家康を抑えるのがこの城の目的だった筈で、
この曲輪は一番重要な曲輪であったと思います。

曲輪を囲む石垣とその上の
白壁の組み合わせが美しいです。

この日は、12月の半ば過ぎ。
午前中で、気温も上がっていないのですが、
石垣手前の芝生に、寝そべっている人がいました。

数奇屋曲輪を過ぎ、石垣と石垣の狭い隙間を抜けると、
天守台の立派な石垣が目の前に迫ってきました。

江戸城や大阪城の石垣も立派ですが、
甲府城規模で、これだけの石垣を持つ
城も珍しいのではないかと思います。

そして、この曲輪には稲荷櫓という
２重櫓が復元されています。

復元されたのは2004年(平成16年)
ごく最近に完成されたものです。

2007年12月に訪れた際に稲荷櫓の内部に入ってみました。
ボランティアの方が詳しく甲府城の様子を教えてくれます。

稲荷櫓にあった甲府城の模型です。
小高い天守台を中心に石垣が幾重にも
取り囲んでいる様子がよくわかりました。

稲荷櫓から眺めた天守台の石垣の様子です。

稲荷櫓を外から眺めた後、
天守に向かいました。

その前に、鍛冶曲輪から稲荷曲輪との間の
稲荷曲輪門を見学しておきました。

この門も復元されたものです。

この門は、本丸への搦手にあたり、
天守への最後の関門になります。

石垣と石垣の狭い空間に配置され、石垣沿いの
小道から90度角度を変えて、門に入り込む
構造になっているので、大人数の軍隊が
通過する事は不可能な構造になっています。

そして、いよいよ天守台です。

標高304mのところに築かれています。

この天守台に、天守が築かれた記録は残っていない
そうで、実際に、天守が建てられたのかどうか、
明確な事は判っていないそうです。

しかし、金箔の瓦が出土したりして居る事や、
徳川幕府成立以前の豊臣大名のお城には必ず
天守があったという事で、この甲府城にも
かつては天守が聳えていたようです。

甲府の商工会議所では、天守復元に向け、
天守の記録を探そうと、300万円もの
懸賞金を募って活動しています。

天守台からは甲府の街並みが一望出来ました。

これは天守台の南側に広がる
甲府市街と富士山の方向です。

2013年2月に訪れた際には、幸いに天気に恵まれ
遠く、富士山の山頂を眺める事が出来ました。

そして下の写真は、天守台から
北の方向を望んだ写真です。

天守台からは城内の様子も手に取るように判ります。

これは本丸の様子です。
かつては御殿が建っていたと思いますが、
今は、芝生が植えられ綺麗に整備されています。

本丸に建つオリベスク状の石碑は
1920年(大正9年)に建てられた謝恩碑です。

明治時代末期に、山林が荒れ水害が相次いだ為、
その復興にと山梨県下の御料地を下賜された
事を記念したものだそうです。

そしてこちらは稲荷曲輪の様子です。

2005年12月に登城したときには、師走の風を
浴びながら、天守台からの360度の
展望を楽しんでいました。

天守の南側には、2013年(平成25年)に、
140年ぶりに復元された鉄門がありました。

上の写真は本丸側から眺めた鉄門です。
鉄門を抜けて振り返って眺めた様子です。

本丸曲輪への階段を下りたところから
眺めた鉄門は、重厚な様子が印象的でした。

天守台からの展望を楽しんだ後、
銅門跡を抜け内松陰門に向かいました。

銅門から見下ろす内松陰門です。

内松陰門は本丸から屋形曲輪への出入り口にあたり、
1999年(平成11年)に復元されています。

今は、大通りに面していますが、当時はこの門の
西側に、御殿が建っていたものと思われます。

内松陰門を出て、甲府城の東北の隅に建つ
稲荷櫓を城郭の外から眺めました。

立派な高石垣の上に聳える稲荷櫓。
青空に映えて、当時の甲府城の
荘厳な雰囲気を漂わせていました。

2007年12月に甲府城を訪れた際には、
中央本線の北側に山手御門が
復元されていたので見学に行ってみました。

中央本線を跨ぐ跨線橋からの山手御門の様子です。

山手御門は枡形門形式の立派な門で、
甲府城に３つあった出入り口の
一つだったそうです。

門の外側にあたる高麗門と
内側の厳重な構えの櫓門です。

石積みの状況等から家康が築城を開始した
1583年（天正11年）から慶長初期
(16世紀末から17世紀初頭)に
築かれたと考えられているそうです。